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エイズ治療は抗HIV薬を飲み続ける事がとても重要

2019年12月24日

HIV感染症とエイズは密接な関係にありますが、イコールの関係で結ばれる疾患ではありません。HIV感染症はヒト免疫機能不全症候群ウイルスに感染している状態のことです。一方、ウイルス感染後に数年から十数年ほどの期間経過を経て、23種の指標疾患のうちのいずれかを発症したと確定診断されると、エイズと判断されます。つまりHIVに感染しても23種の指標疾患を発症しない限り、エイズとは診断されないのです。20世紀に原因ウイルスが発見された当初は、効果的な治療薬が開発されていないので、両者を厳密に分類することにはさほど意味はありませんでした。一度原因ウイルスに感染すれば、死を座して待つほかないと考えられていたからです。ところが、その後の研究の成果で抗HIV薬に複数の種類が開発されたことで様相は一変することになります。複数の抗HIV薬を組み合わせる多剤併用療法による治療が普及したことで、もしHIVに感染しても免疫力が低下してエイズを発症する前の段階で食い止めることが可能になったのです。以前の治療では抗HIV薬の選択肢が少なかったので、治療薬に対する耐性をウイルスが獲得することを懸念して、免疫力が低下してエイズの発症直前まで治療を開始しないという方法が行われてきました。しかし現在では複数の抗HIV薬を同時に服用する多剤併用療法の有効性が明らかになり、エイズの発症を防ぐことが可能になりました。そして仮にHIVに感染しても日常生活が可能になり、非感染者と同様に寿命を全うすることも、先進国では一般的になってきています。従って、万が一エイズを発症しても、抗HIV薬や治療技術の進歩で長期生存も可能となりました。研究者の間では、今後のワクチンの臨床試験の進展や、HIVウイルスの体内からの完全排除などを目指しているようです。
つまり現在ではHIV感染症やエイズは、もはや生活習慣病のように感染しても薬を服用することで上手に付き合うことが可能になっているのです。ただし抗HIV薬はあくまで免疫力を破綻させるほどウイルスが増殖することを抑制する効果を持ってはいますが、体内から根絶することはほぼ不可能です。従って抗HIV薬は一度服用を開始すれば、生涯にわたり飲み続ける必要があります。体調に問題がないからと勝手に服用を中止すれば、免疫力の低下は進行し、23種の指標疾患に罹患するリスクが非常に高くなってしまいます。HIV感染が判明したときには、真摯に治療に取り組む姿勢が求められます。